復活の村
不正を犯して蘇った者が自分の孫であるという認識はできなかった。


それでも祖母は声をかける。


手足はすでに限界で、大量の汗が流れてきていた。


「おばあちゃん?」


ヒトミの声に涙が滲んでくる。


その声は紛れもなくヒトミのもので、だけどそのヒトミは蘇ってきてはならないものだった。


「おばあちゃん、どこへ向かっているの?」


「神社だよ」


「神社? どうして? お祭りはもう終わったんだよね?」


背中のヒトミが不安そうな声を出す。


祖母は大昔にこうして孫をおんぶしていたことを思い出していた。
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