復活の村
あの頃のヒトミはとても小さくて、頼りなくて、そして自分はもっと若く元気だった。


神社の石段だって、休憩せずに上がれていた。


「ねぇ、おばあちゃんおろしてよ。私神社へは行きたくない」


なにか感づくものがあるのか、ヒトミは背中で暴れだした。


手足をバタつかせて、必死に降りようとする。


しかし祖母は手の力を緩めなかった。


体力はすでに限界に来ていたけれど、神社の石段を登りきるまでは絶対にヒトミを離さないと決めていた。


「お願いおばあちゃん、おろして」


「ダメだ。できないんだよ」


申し訳さながこみ上げてくる。


ヒトミは観念したかのようにおぶられたまま静になる。


このまま石段を上りきることができるだろうか。


鳥居の前まできた、そのときだった。
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