復活の村
覗き見するなんて趣味が悪いと思いながらも、その場から離れることができなかった。


ユウジくんはさっきからうなだれていて、今にも泣き出してしまいそうな声を上げている。


「うんうんうなってたってわからないだろう」


父親に激しい口調で言われて、ようやく顔を上げる。


「あの祭りが本物だなんて思ってなかったんだ」


ユウジくんのか細い声にハッと息を飲む。


「死者が蘇ることなんてありえない。だけど万が一お姉ちゃんが蘇ることができたら。そう思ったんだ」


ユウジくんは1人で告白を続ける。


僕も出て行って一緒に謝るべきかもしれない。


そう思いながらも、最後まで見守ることに決めた。


「それで、どうしたんだ?」


「……赤い花を盗んできた」


その言葉に両親とも絶句し、目を見開いた。
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