復活の村
「お父さん、キッチンへ行きましょう」


母親がそっと促して立ち上がる。


「今日はおいしいお肉料理にしたのよ」


ヒトミは目をキラキラと輝かせて説明する。


ゾロゾロとキッチンまで移動してきた僕たちは、すでにテーブルに出されている料理を前に手が出せないでいた。


確かにいい香りがしているのだけれど、まるで食欲はない。


こんなことになってしまったのだから、それも仕方のないことだった。


ヒトミは1人で自分が作った料理を口へ運ぶ。


「これはなんて料理?」


少しでも気分を変えるために、僕もフォークで肉を突き刺して口に運んだ。
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