復活の村
ヒトミの手は今にも母親の喉を掻っ切ってしまいそう。


それでもまだ母親は無傷だ。


なら、この血の匂いは……?


更に視線を巡らせると部屋の惨状がわかってきた。


大きない一枚板のテーブルはひっくり返り、座布団は切り裂かれて綿が飛び出している。


奥のふすまは破られて、血が飛び散っていた。


そして、そのふすまの前に父親が倒れていたのだ。


父親はうつろに天井を見上げ、口の端から血を流している。


そして腹部は真っ赤に染まり、黒く丸い穴が空いている。


その穴から細長い臓器が露出し、それは畳を這ってヒトミまで伸びている。


ヒトミは片手に包丁。


もう片方の手に父親の臓器を握りしめていたのだ。
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