復活の村
僕がそれを見間違うはずがない!


気がつけば僕は包丁を手から滑り落としていた。


こんなものをヒトミへ向けていたなんて自分が信じられない。


「なにをしてるんだ!?」


神主さんが青ざめて目を見開く。


ヒトミはすでに抵抗をやめておとなしくなっているのに、神主さんはその手の力を緩める気はなさそうだ。


「大丈夫だよヒトミ。僕と一緒に帰ろうね」


僕はゆっくりとヒトミに近づく。


ヒトミは血のついた口元で微笑む。


「神主さん、その手を離してください。ヒトミは大丈夫ですから」
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