復活の村
けれど不思議なことに隣の県ではこの山の水が流れてこないのだと言う。


ちょっとした地形の違いで、水に恵まれるかどうかが変わる。


ヒトミはそれを誇らしそうに教えてくれた。


それから僕たちは村の中をブラブラと散歩を続けた。


村にあるものは民家と小川と田んぼと畑。


時々潰れた商店が目に入るくらいなものだった。


「ここは郵便物は届くの?」


「一応ね。2日に1度だけど」


それを聞いて安心した。


外界との接点がまるでないわけじゃないみたいだ。


田んぼの畦道を歩いていると複数の大人たちがせわしなく行き交っているのが見えて、僕は足を止めた。
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