復活の村
そして山の水はこの村に流れてきても、隣の県には流れていかないという。


そういうことが関係しているのだろう。


「ただ悲しいのは、蘇ったからと言って不死身になるわけじゃないことよね。せっかくこの世に戻ってきても結局その人にも寿命があるんだから」


ヒトミはため息交じりに言った。


「確かにそういうことになるね。でもちゃんと死んでいかないとこの村はすぐに人間でいっぱいになってしまうよ」


「それはそれで困りものよねぇ」


ヒトミがあまりに真剣に悩んでいるのでつい吹き出してしまった。


そもそも死者が蘇るなんてこと、物語の中でしかありえないことだ。


それを真剣に悩んだところで仕方がない。


「僕は死者よりも、今日の晩御飯の方が気になるな」


村をほぼ一周してきたので随分と時間は経過している。


商店も飲食店もないから、昼は食いっぱぐれてしまっていた。


「そうね。私も早く帰って手伝わなきゃ」
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