復活の村
匂いの正体を探ろうと再び大きく息を吸い込もうとした時、前を歩いていたヒトミが足を止めた。


「ついたよ」


そう言って浮かない表情で振り向く。


どんなにキレイな池が目の前にあるんだろう。


そう思うと少しの濁った匂いのことなんてすぐにどうでもよくなってしまった。


僕はヒトミの横に立って期待を込めて池を眺める。


と、シュルシュルと期待がしぼんで行ってしまった。


木々が開けた眼の前にはたしかに池があった。


けれどそれは緑色に淀み、微かな異臭さえ感じられる泥沼のような池だったのだ。


さっき感じた腐ったような匂いはこの池の水だったのだ。


「ね? ここはあまり来たいと思わない場所だよね?」
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