復活の村
「少しこれに乗ってみないか?」


僕の提案にヒトミは目を見開いた。


「こんなの乗れるわけない。池だってこんなに汚いし」


「ほんの少しだけだから。僕がこいであげるよ」


両手で池へとボートを押し出し、浮かべると同時に飛び乗った。


そんな僕を見てヒトミは慌てた様子で近づいてきた。


ヒトミの手を掴みボートへと引っ張る。


ヒトミは軽くジャンプをして上手にボートに飛び乗った。


「もう、こんなことして……」


眉間にシワを寄せているけれど、頬は緩んで楽しそうだ。


「少し中央の方まで行ってみよう」


それほど大きな池じゃないから中央まで移動するのに5分とかからなかった。


水の腐った匂いを我慢していればそこはとても景色のいい場所だった。
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