復活の村
ボートから頭上を見上げてみると、ちょうど木々の隙間が大きく開けている。


そこから差し込む光が湖面と僕たちを照らしていて、まるで天国への階段のように見える。


「なかなかいい場所だね」


「そうね。こんな風に見たことがなかったから、知らなかった」


「本当に誰もボートを使わないんだな」


せっかく置いてあるのに、これじゃ宝の持ち腐れだ。


昔はこうして木々の隙間から差し込んでいる日差しを見つめていた人もいただろうに。


しばらく2人してぼんやりと太陽の日差しを見つめていると、不意にヒトミが立ち上がろうとした。


ボートがグラリと揺れる。


「どうした?」


咄嗟にボートの両脇を掴んで聞く。
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