復活の村
このままじゃボートは沈んでしまう!


そう思ったときだった……バシャンッ! 大きな水音がして、ボートが左右に振られた。


思わず目を閉じてボートから振り落とされないようにすがりつく。


「今のはなんだ!? この池、なにか住んでいるのか!?」


しかし、返事はなかった。


「ヒトミ?」


目を開けた時、そこにヒトミの姿はなかった。


一瞬頭の中が真っ白になり、それから勢いよく立ち上がる。


「ヒトミ、どこにいる!?」


さっきの揺れで落ちたのか!?


目を凝らして湖面を見つめても、そこにはなにもない。


木切れ一つも浮いていない。


岸へ視線を向けてみてもそこにヒトミの姿はなかった。
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