復活の村
僕の吐いている白いスニーカーはドロの汚れだけでなく池の藻が絡みついて緑色に変色している部分もある。


それをぼーっと眺めていると、途端にユウジくんが身を屈めた。


「屈んで!」


小声で言われて僕も同じように身を低くする。


墓石の影から顔をのぞかせて見てみると、あの長い石段から神主さんと思わしき人が降りてくるのが見えた。


その人は白い狩衣を来て水色の袴をはいている。


頭には黒く尖った烏帽子をかぶり、手には赤い花を持っていた。


「あれが赤い花?」


「そうだよ」


遠くからみるだけではなんの花かわからないが、僕には見たことがないもののように思われた。
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