復活の村
☆☆☆

ヒトミの遺体にさっきもらったばかりのお守りを握らせると、親族たちはその遺体を車に乗せた。


後部座席に寝かされたヒトミには薄い布団が被せられたが、もう顔を隠す布は用意されなかった。


死化粧を施されたヒトミの顔はいつになく美しく、まるで作られた人形のようにも見えた。


そんなヒトミを乗せて車はゆっくりと走り出す。


4人の乗りの車ではヒトミの父親と母親しか乗ることができず、残された僕たちはその車について歩くことになった。


「足、大丈夫ですか?」


森の中まで歩くことになった祖母を心配して声をかける。


「大丈夫よ。ありがとう」


祖母は嬉しそうに頬を緩めて答えた。
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