復活の村
そっと手を伸ばしてヒトミの頬に触れる。


暖かくて柔らかい肌の感触に涙が出そうになる。


「ヒトミ。本当にヒトミなんだな?」


「そうよ。どうしたの?」


ヒトミはキョトンとした表情になり、僕に聞き返す。


本人に死んでいたときの記憶はないみたいだ。


「よかった。戻ってきたんだな」


華奢な体を抱きしめると折れてしまいそうに感じられるのも、生前のまま変わっていない。


なにもかも同じ、ヒトミ本人がここにいる。


「ヒトミ、おかえり」


母親の声が聞こえてきても、僕はヒトミを抱きしめ続けた。
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