復活の村
よほどヒトミのことが好きなのだろう。


「お姉ちゃんも戻ってきたことだし、まだしばらくはここにいるんだろう?」


「あぁ、そのつもりだよ」


果たしてヒトミを東京に連れ帰っても良いものかどうか、まだ判断しかねていた。


見たところ生前となにも変わっていないように見えるけれど、ヒトミは1度死んでいるのだ。


幸い東京の友人らにそのことは伝えていなかったが、儀式を行ったこの村から出すことに抵抗があった。


もしもこの後ヒトミの身になにかがあったとき、僕1人で対応する自信もない。


「そっか。よかった」


ホッとしたようなユウジくんの表情にはどこか影があり、気になった。


「どうした? なにか心配事でもあるのか?」

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