ユメミルハチミツコ~意地悪上司と秘密の関係!?~




「河上さんありがとね」

「あ、いえ」


部署に戻れば部長がニコニコと出迎えてくれる。ペコリと頭を下げると、すぐ後ろを歩いていた先輩が溜め息をつくから、その場の空気が一気によどみ出す。



「おー、相馬。あんまり、新入社員苛めんなよ!」

「部長こそ、コイツは自分の仕事も終わってないのに、雑用なんて頼まないで下さいよ」

「いやー、相馬はチェック厳しいからな。河上さんも大変だ。」


"はっはっはっ"なんて部長が笑い声をあげるから、



「指導です」


眼鏡をあげる先輩の口元が、ピクリと動いたのが分かった。



「お前のおかげで何人やめた事か」


そ、そんなに!?
辞めちゃった子もいるの?
なんて目を丸くして先輩に目を向ければ、



「それは関係ないですよ。退職するのは本人の意思なんだから」


確かにそうなんだけど。
先輩の言い通りなんだけど。
結果だけ聞くと、なんとなく本当なのかな……。


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