無理、俺にして
「ほ、本物、が、あ!! こっち向いて、はあっ!!」


急に木の陰から顔を出されて純粋に驚いたのと、イケメン二人がこっちを向いて話している事にキャパオーバーしてしまったふみちゃん。

それでもちゃっかり私の後ろに隠れるところが女の子らしくてかわいい。

大丈夫ふみちゃん、私もそうなる気持ちめっちゃわかるよ……。

私だって今声上げるのめちゃくちゃ我慢してるもん……!!


ふみちゃんの手をぎゅっとつかみながら、ちらりと二人の方を見る。


二人とも汗をかいたせいで髪はいつもよりしっとりしてて。

ハードな練習で半袖姿だけど、肩までまくっているせいで普段見えない腕全体がばっちり見えちゃってる。

折原くんは長袖ジャージを腰に巻いてて、細い腰がより強調されててなんかもう……。


「……ぐぬぬ……っ」


だきしめられたいとか言えない、言いたいけど……我慢……!!

落ち着くのよ、変態ゆめ……!!


「くふ、変な顔しとるなーゆめ。さてはまたおかしな妄想でもしとるのか」

「ぬうう……!!!」


折原くんは絶対分かってる。

私がどうして変な顔をして、変な声を出してるのか。
わかってるからこうやって名前で呼んでくるんだ。

それでも、分かっていても、どうしても私の変態部分がきゅんって反応する。バカ。

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