無理、俺にして
それと同時にふみちゃんはその場にへにゃりとおしりをついてしまった。
「だ、大丈夫? ふみちゃん」
「ゆめちゃん、あの二人と仲良かったんだね」
「え……っ」
下を向いたままそう呟くふみちゃんの言葉に、ドキッと胸が鳴る。
そうだ、私はあの二人とは無関係なように過ごしてきてたのに、最近お昼休みよく一緒に過ごしているせいでいつものように会話しちゃってた……。
どうしよう、やっぱり何か気に障ったかな。
せっかくできたお友達だったのに、嫌われちゃった、かな……。
「あ、あの、実は……」
せめてあっくんと幼なじみって事くらいは伝えないと。
そう思って口を開いたとき。
「すごいよおおっ!!」
「!?」
そう言ってふみちゃんは、これまたきらっきらな瞳を向けてきた。
「私のお友達が、推しの二人とも仲良しだったなんて……っ!! やばあ~……!!」
「……ふみちゃん……」
ふみちゃんからさらりと出された「友達」という言葉にきゅんとする。
私の事、友達って言ってくれたのがすごく嬉しい。
「円城くんは優しくて明るくて、ひたすらに顔がいい。折原くんなんてあのクールな顔で円城くんたちと馬鹿みたいに笑って過ごしてるの尊い、花にも詳しいみたいで、ギャップしんどい〜……」
二人がいなくなった途端、急に饒舌になるふみちゃん。
「見てるだけで幸せな気持ちになる」と付け加えたあとに、気合を入れるように両手をぎゅっと握りしめて笑った。
「明日の楽しみ、また増えちゃったね!! こっそり二人で赤組応援しちゃおっか!!」
さっきまでのガクガクはどこにいってしまったのか。
今日一のとびきり笑顔のふみちゃん。
「……ふふ、うん、そうだねっ」