無理、俺にして
***

「そういえば、ゆめちゃん知ってる?」


教室に向かう途中。

何かを思い出した様子のふみちゃんは、またもや目をキラキラさせて私の方を見て続けた。


「体育祭のジンクス!」

「ジンクス?」


体育祭にまつわるジンクスなんて聞いたことはなくて、私は首を傾げる。

……恋愛に関することだったら嬉しい、けども。


「あのね、体育祭中に好きな人と身につける物を交換すると、両思いになれるんだって!!」

「そ、っ……」


それは……!!

なんて素晴らしいジンクスなの!?


「それ、本当!? え、え、本当!?」

「ふふ、さてはゆめちゃん、好きな人でもいるの?」

「えっ、あっ……!?」


ジンクスのことをもっと聞きたいのに、しまったと口元を手で隠す。

こんなの、私には好きな人がいますって自分から言っいるようなものだ。
は、恥ずかしすぎる。

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