無理、俺にして
私の反応に少々不服そうな折原くんには申し訳ないけど
ちょっとそれどころじゃない。
抱きしめて匂いを嗅ぎたいです、折原くん。
「抱きしめて匂い嗅がないんだ?」
「なんでそれをっ!?」
「マジだった」
不服そうにしていたはずなのに、今度はこらえるように笑い始める。
「……いい、の?」
「もうすでに抱きしめちゃってるケド」
「う……」
確かに、気付いたらもうぎゅっとしちゃってた。
ちょっとばつが悪くて下を向くと、鼻をかすめる折原くんの匂い。
「どーせ俺がいなくなったら嗅ぐくせに」
「……っ」
折原くんは自分の傍にあったカーテンを引いて
私ごとカーテンにくるまるようにして抱きしめてきた。
「あ、あ……っ!!?」
流れるような、あまりにも一瞬の出来事で頭が追いつかない。
折原くんの体温、が、伝わっ……。