無理、俺にして

「オリくんの匂い、そんなに好き?」


抱きしめられるのは、これが初めてじゃないはずなのに。


一度目は、屋上で一緒に横になりながら。
二度目は、空き教室で、泣くのを必死にこらえながら。

私の気持ちと、折原くんの気持ちが一緒じゃないと分かったあの日から
私はあなたに恋をしてるんだって思ったんだよ。

だから三度目の今回は、今までとは比にならないくらいドキドキしてる。

「男の子」じゃなくて「好きな人」にこうして抱きしめられるのは、初めてだから。


好きな人の匂いに包まれて、頭の中がぐるぐるして。


「うん、好き……っ」


腕の中にあるTシャツに顔を埋める。
ああもう、だめだ。

言ってしまった。

ついに言ってしまった。


ぐちゃぐちゃになった想いが溢れて、涙が出そう。


「……お前さ」

「ハイ……」


恥ずかしすぎて顔を上げられない。

好きな人に好きって言うのがこんなに恥ずかしいなんて!!


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