無理、俺にして
オリに俺の本音を話して、オリも俺の気持ちをちゃんと受け入れてくれて。
次の日からも普通に……いやより仲良くなれたと思っていた。
親友としても、
恋敵としても。
けど、最近のオリのゆめちゃんに対する態度を見て
俺は少しだけ後悔した。
オリが、「全力で落としに行く」と言って来た時、俺は内心めちゃくちゃ喜んでいた。
こういう宣戦布告的な場面が、かっこよくて好きだったし
何よりオリと対等になれたこともうれしくて
オリに気を遣わず正々堂々とゆめちゃんにアタックできる、とか思ってた。
……何が、正々堂々だよ。
「幼なじみ」というポジションに勝手に安心してた自分に、心底嫌気が差す。
ぽっと出の折原紫乃よりも。
結局は自分の方がゆめちゃんの好きなものを知っているし
ゆめちゃんの性格だってちゃんと知っている
小さい頃から、俺の事だけ「あっくん」とあだ名で呼んでくれている
……折原紫乃よりも、誰よりも。
音原ゆめを知っているのはこの俺だと。
心のどこかで安心して、どこかで余裕をかましていて、
どこかで、折原紫乃という人間を下に見てしまっていた。
……これは、完全に自業自得なんだ。