無理、俺にして
「わあ、ノートとシャープペンだ!!」


一位の景品を受け取ったゆめちゃんは、嬉しそうにまっすぐに俺の元へ戻ってきた。

感傷的になっているせいか、たったそれだけのことで涙腺が緩む。


次の競技の邪魔にならないように端っこ……並木の陰を通って待機場所へと歩みを進める。


久しぶりに二人きりになれたせいか、変に緊張する。

ちらりと隣を見やれば、やっぱりゆめちゃんはオリのTシャツを来ていた。
いつもワイシャツの下に着てくるあの、青い。


「あの、と、ところでゆめちゃん」


少し声が震えていて、自分でも驚いた。

弱気すぎ。
動揺しすぎ。
かっこわるすぎ。


「借り物のお題ってなんだったのか聞いてもいい?」


オリじゃなくて俺を選ぶ理由……。

身長が高い人?
バカだと思う人?

……はは、我ながらどんだけネガティブになってんだよ。


「あ、はい!!」


ゆめちゃんは、お題の書かれた紙をためらわずに見せてくれた。

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