無理、俺にして
幼なじみとして、私を折原くんにとられたくないんだろうなって。

でも、三人で仲良くお話ができる時間も増えてきて、最近なんてそれが当たり前みたいになっていた。


「ゆめちゃん……!!」


熱い吐息とともに、私の名前を呼ぶあっくん。
ただ事じゃないと思った。


あっくんが、私を好きだって言いながら、こうやってきつく抱きしめるなんて。


「あっく、ん、みんなに、見られちゃ……」

「体育祭に夢中だし、木の陰だから大丈夫」

「っ」


また、腕の力が強まった。

苦しい。痛い。


「お願いだから、俺のことだけ見て、俺のことだけ考えて」

「……あっくん」

「俺、もう無理なんだって……!!」


小さい声だけど、でも私には叫んでるみたいに聞こえて。

気持ちがビシビシ伝わってきて、今にも崩れそうなあっくんの背中に手をまわした。


……あっくんが泣いてる。

私が原因で、私を抱きしめながら、泣いている。


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