無理、俺にして
他にかける言葉も見つからない。

こうして、一緒に泣くことしかできない。


「俺、ね」

「うん……?」


きゅっと、やわらかくなる。

がむしゃらに私の体を抱きしめていた腕の力が、少しだけ緩んだ。


「自分がこんなに女々しくて面倒くさい人間だと思ってなかった」

「ふふ、なにそれ」


少なくとも私が知ってるあっくんは、女々しくもないし面倒くさくもないと思うよ。

あっくんにも、自分でも知らない自分がいるんだなあ。

まるでついこの間の私みたい。


「ゆめちゃんとのこと、幼なじみだからって理由で正直余裕ぶっこいてた」

「……」

「俺、バカだ。そうやってかっこつけてないで、最初からこうやって、どんな手を使ってでも奪ってやるみたいな、そういう風にしなきゃだめだったんだ」


私を抱きしめながら、私との接し方について大反省会をし始めるあっくん。

というか、後半。

奪ってやるもなにも、私は誰のものにもなってないし、
少なくともそんなやり方、あっくんには向いてないよ。

例え、そうする!! ってあっくん自身が決めたとしても、優しいから結局できなさそう。


「ふふ」


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