無理、俺にして
***

「ゆめちゃああ……!! どこ行ってたの探したんだよおお……!!」

「ご、ごめんねふみちゃん、色々あったんだよ~……!!」


案の定めちゃくちゃ心配をかけてしまっていた。


「あのさ、俺からもごめん。ゆめちゃんのこと勝手に連れ回したの俺だから」

「えっ!? ……えっ!?」


本当に私しか目に映っていなかったんだろう。
私の隣にいるあっくんにやっと気付いたふみちゃんは、あっくんを二度見する。


「尊い!!?」


そして、両手で口元を押さえながら何故か疑問系でそう叫んだ。


「後半戦もお互い頑張ろうぜ!! 赤だって全力で行くから!! じゃあなー!!」

「……っ、……!!」


爽やかに去って行くあっくんを前に、相変わらずふみちゃんはろくに話しもせずに終わってしまった。

……口元はまだおさえたまま。


「ふみちゃん、大丈夫?」

「無理~……だって顔が良すぎるよ……推しが尊い、生まれてきてくれてありがとうフォーユー……」


あっくんがいなくなった途端に饒舌になるものだから面白くて笑ってしまう。


「ふみちゃん、あは、急に饒舌になるの面白い……ふふ、」

「もう!! 笑ってないでちゃんと詳しく聞かせてね!?」

「はあい」
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