無理、俺にして

体育祭の後半戦は、玉入れや綱引きなどの団体種目が多くて、
私とふみちゃんはひいひい言いながらも必死に青組に貢献しようと頑張った。

失敗しても成功しても、こうして笑い合える友達ができたのは本当に良かったと思う。

一人だったら、去年みたいになにも思わずただ時間がすぎるのを待っていただけだと思うから。


自分たちが参加しない競技を観戦しながら

ふみちゃんには私とあっくんの関係だったり、私と折原くんのことだったりを話した。


……死ぬほど恥ずかしかったけど、例のノートのことも打ち明けた。

意外にもふみちゃんは「わかる!!」と共感してくれて


「私なんてめっちゃえっちな漫画描いてた!! 形はどうあれ、女の子は誰だって想像しちゃうよね」

「そ、そう……なんだ、そっか」


こんな恥ずかしいことしてるの、自分だけなんだと思ってたけど。

私が、外の世界を知らなさすぎただけみたい。

もっといろんな人と話をしよう。
自分の普通だけが普通じゃないってことを、ちゃんと知ることができるように。


「さあー!! 高校生がこれをやるか!? とクレームが殺到しつつも逆に地味に人気の大玉転がしのスタートだー!!」


そのアナウンスと共に、笑いがどっと溢れかえる。

どこから用意したんだろうか、自分の身長と同じくらいの大玉を二人一組で100メートル走る競技。
50メートル先にコーンが置いてあって、そこでUターンをするみたい。


「……」


見ていて思う。

……あれ、無事に曲がる方が難しいんじゃないかな……!?
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