無理、俺にして

「ちょ、まっ……フジちゃん、待っ!!!」

「すまねえたっつん俺はお前を犠牲にしてでも勝ちたい!! パン食い競争で勝てなかった分な!! うおおお!!」

「ちょ待、あああ!!」


距離はだいぶあるはずなのに、こっちまでそんな会話が聞こえてくる。
小池くんはそのまま大玉に巻き込まれる形でゴールイン。

さらに会場に笑いが溢れる。


「ぷ……っ」

「あははっ!!」


私とふみちゃんも、顔を合わせて笑った。

その後もムカデ競走や仮装リレーなど、いろんな競技を二人で観戦。


順位だけでなく、会場の笑いまで持って行ってしまう赤組は、やっぱり最強だ。


「おおお!!」

「赤組、ナイスコンビネーションでぶっちぎりの一位!!」

「きゃーっ!! 折原くーん!!」

「円城くんかっこいいー!!」


二人三脚とは思えないスピードで100メートルを駆け抜け、一瞬で周りの女の子たちの黄色い声があがった。


「秋音、ハチマキほどけぬ」

「はあ!? どんだけ強く結んでんだよオリ」



< 145 / 202 >

この作品をシェア

pagetop