無理、俺にして
しゃがんで二人の足首を繋いでいるハチマキをほどこうとしている折原くんは、
困ったようにあっくんを見る。
あっくんは仕方ねえなといった感じで一緒にその場にしゃがんだ。
「これじゃ俺たち、離れられないぬ」
「え、嫁に来ちゃう?」
「こんなとこでプロポーズなんて、秋音くんかっこいー。バラの1本でも持ってきたらもっとかっこいーのにー」
「棒読みやめれー?」
二人のそんなやりとりに、またもや黄色い声があがった。
もう、そんなやりとりするから女の子たちにへんな噂されるの、そろそろ分かった方がいいよ……。
「……」
でも、二人の相変わらずのじゃれ具合に、ほっと胸をなで下ろした自分もいる。
「だ……っはああ……」
「ふみちゃん!? 鼻血、鼻血!!」
隣で、だばだばと見たことのない量の鼻血を出すみちゃんを見てぎょっとする。
「推しが尊い……!!」
「そんな事言ってないで救護テントいくよ!?」
急いでふみちゃんを保健の先生が待機している救護テントまで連れて行く。
ありえない量の鼻血だということで、安静にするため保健室へ連れて行かれることになってしまった。
「う、いやだ、見たい……」