無理、俺にして
ちょっとしたハプニングもあったけど順調に競技は進んでいき、
少しの休憩時間を挟んで……間もなく始まろうとしている。
「たのしみだね~」
「やっぱ本命は赤組よね!!」
誰もが目当てにしている、応援合戦。
各組の男子が一旦校舎で着替えて、こちらに戻ってくるのを待っている。
そわそわとした雰囲気の中で、私はまだ、考えていた。
ううん、あっくんとのことがあってからずっと考えてる。
ノートを発見されたのが折原くんじゃなくて、あっくんだったらどうなってたのかな、とか。
相手はあっくんでもいいんじゃないのか、とか。
「……っ」
だめだ。
あっくんがだめなんじゃない。
あっくんは優しくていい人だし、実際どれだけ私のことを想ってくれているのか十分わかった。
それでも。
「きたっ……!!」
「きゃああ!!」
「わっ……」
様々な衣装に身を包んだ男子が、各組ごとに並んで登場する。
その瞬間、会場の温度が一気に急上昇。
もう、自分で自分の声が聞こえない位に盛り上がっている。
「……!!」
今まで私を大切にしてくれたのはあっくんだけど……
これから一緒にいたいと、私が大切にしたいと、そう思うのは。
飄々としてて、何を考えているかわからなくて
よくからかわれて、恥ずかしい思いを何度もさせられるけど。
触れる手も、優しい声も、柔らかい香りも。
もう、離れて欲しくないと願うのは。