無理、俺にして

たたみかけるように荒く激しい舞と、太鼓の音。

指先の動き一つ一つがしっかりそろっていて、赤組が作り出した雰囲気に溺れてしまっていた。


そうして、赤組の演舞はあっという間に終わってしまったのだった。


「……はあ……っ」


本当に止まっていたわけじゃないのに、なんだか苦しくなって大きく息を吐いた。

やっと大きく深呼吸ができて、苦しいのも落ち着いてきた。


「す、すごかった……演舞……」


まだ鮮明に覚えてる。
これは、隣にふみちゃんがいたら大変な事になっていたかも知れない。

きっとまた、鼻血でちゃうよ。


「ふふ」


そんな想像をしてつい笑ってしまう。



会場の熱気は最後まで冷めることを知らず、

青組も粘りに粘ったけれど
僅差で赤組の優勝で体育祭は幕を閉じた。

< 151 / 202 >

この作品をシェア

pagetop