無理、俺にして
そりゃあ、折原くんと同じクラスで、いつも一緒にいれば気付かないわけ、ないよね。

ふみちゃんが気付いたくらいなんだし、そりゃ気付きますよね……!!


どうしよう、恥ずかしすぎて消えたい……!!


「あー……バレた?」

「バレるわ!! 何年の付き合いと思ってんだよオリー!!」

「えっと、たしか一万年と二千年?」

「きゅうん」


言葉通りきゅんとしたように、胸のあたりを押さえて飛び跳ねる藤沢くん。
そんな二人のやりとりを見た小池くんが、首を傾げてあっくんを見た。


「あれ、なあ円ちゃん。俺らの中で『きゅうん』って流行ってたっけ?」

「案ずるなたっつんよ、俺はわから……そういえばオリが使ってたな!?」

「なにっ、乗り遅れただとっ!?」


「……」


本当にどこでもこんなやりとりしてるんだなあ、と、改めて思ってしまった。


「あ、さっきの演舞で目立ってた二人いるじゃん!!」

「年下とは思えないくらい大人っぽいしイケメン~!!」


近くを通り過ぎていく上級生の声がして、体をびくつかせる。

これ以上折原くんのTシャツを着た私がここにいちゃいけない。


四人が楽しそうに話をしているのをいいことに、どさくさに紛れて人の波に紛れ込もうと、そーっと歩き出そうとした、とき。


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