無理、俺にして
「折原くんにここで言われてから、あっくんのことちゃんと考えた」

「……ほーか」


折原くんは、椅子を指差して座りな? と首を傾げる。
けど、だめ。

座って向き合ってしまったら、なんだか余計に緊張して
話したいことをちゃんと話せない気がするから。

首を横に振って、ありがとう、と伝えるように微笑んだ。


「でも、あっくんとちゃんと話をして、あっくんのこと考えてるようで、考えられてなくて。
ノートに書いてあることだって、相手は折原くんじゃなくてあっくんでもいいんじゃないかとか」

「……」


そう。
私なりにちゃんと、もう一回考えた。


「ノートの秘密を知るのも、その内容の相手も、やっぱり折原くんじゃなきゃ嫌だ。
だって、折原くんのせいで、あのノートの内容……『男の子としたいこと』じゃなくなった」

「うん……うん?」


ぱちくりと目を開けたり閉じたりする折原くん。

もう、人が真面目に話してるのに……。


「まさかの、女の子、としたいことだった?」


そんなバカな、なんて付け加えて立ち上がるから。


「ちが……っ、そんなわけないでしょっ!!」


つい反論する私の声も大きくなってしまった。

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