無理、俺にして
何度も何度も角度を変えて
離れてはふさがれ、の繰り返し。
いよいよ立っていられなくなって、かくんと膝が折れる。
でも、それを逃さないように折原くんが支えて、ゆっくりと床に座らせてくれた。
「……初めて、ここに連れてきたときも、カーテンにくるまったときも」
折原くんの熱が、じんわりと唇を伝わって。
「今も……めっちゃ我慢してた」
「……ふ、はあ」
呼吸のタイミングをつくるようにやっと離れてくれて、私は吸ったり吐いたりを何度も繰り返す。
息をする、って
生きてたら当たり前にできることが、こんなにも難しいなんて。
「お、折原くんは、どうして我慢してたの……?」
そんなに切なそうな顔して言われたら
こっちだってなんだか苦しくなっちゃうよ。
「好きだからだよ」
「っ」
初めて、折原くんの口から「好き」という言葉が。
「好きで、大切にしたくて、それと同じくらいお前のこれからの『はじめて』は、好きな奴としてほしかった」