無理、俺にして
げんなりして答えると、その人は噴き出して笑う。


「見てみたい。キミ、そういう所も行くんだね、絶対行かなさそうなのに」

「行かぬよ。絶対行かぬ」

「よっぽど大事なお友達なんだ?」

「……」


ふいっと顔を逸らす。

別に、もうすぐ距離あけるつもりだし。

これ以上本気になったら、きついだけだし。

……色々と。


「そういえばね、とっておきの愚痴がありまして……」


高校生になった俺は、すっかりこの人の身長も超えてしまった。

母さんにも「大きくなったね」と言われて、内心はちょっと喜んでる。


「実は、最近家に帰れて無くて……」

「え」


話すようになって随分経つが、基本プライベートなことは話に出たことがなくて。
ちょっとかなり驚いた。

ちょっとかなりとかわけわからん。


「キミと同じくらいかなあ……もしかしたらうちのが一個下かも、くらいの娘がいてね?」

「……」


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