無理、俺にして

「じゃあそろそろ帰るぜよ」

「ゆめちゃん、帰ろう」

「う、ん……」


まだ状況が理解できないまま、二人の会話も落ち着いたところで声をかけられる。


「君ら2人一緒に帰る約束してたんか?」

「あ、ゆめちゃんは「たまたま!!」」


あっ……ぶない。

あっくんてば折原くんの前になるとテンション上がって余計なこと言いかねない。


「私がここにいたのと、あっく……円城くんがここにいるのは、たまたまだよ!! 帰る約束とかしてないよ!!」

「ほう」


私たちが幼なじみってバレたら、どんな仕打ちを受けるか……!!

ただでさえノートの秘密を知られているのに……って。


「そうだ、ノート……!!」

「ノート?」

「はっ」


やばい。
あっくんの前でノートの事を言うわけにはいかない……!!

まだ、返してもらってないのに。

同時に二人に隠し事とか難易度高すぎるよ。


「ぶっ、くくく……」


慌てる私の様子を見ておかしそうに笑う折原くん。

だから何がそんなに面白いのよ。


「じゃあ俺は先に帰るぜよ秋音」

「え、ああ、また明日」

「ふむ。明日からもっと楽しくなりそうにゃな」


キラキラと可愛らしい笑顔を浮かべて、教室を出て行く折原くん。

普通の女の子たちが見たらキャーキャー騒ぐような笑顔なんだろうけど、今の私には悪魔の微笑みにしか見えなかった。




明日から……

とんでもない日々になりそうな予感……!!!
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