無理、俺にして
***

「はっ、初めまして、音原ゆめといいます!! ふ、ふつつか者ですが、折原くんとお付き合いさせていただいています、よろしくお願いします!!」


目的の場所に着くや否や
病室に入る一歩手前でご挨拶をする。

深々と頭を下げてぎゅっと目を閉じた。


「くふ、」

「っ」


すこし高い声で、でも折原くんとよく似た笑い方が聞こえて。

顔をゆっくり上げて、息をのんだ。


「はじめまして、ゆめちゃん」


頭側を少し上げた状態のベッドに、弱々しく体を預ける女性が、私の名前を呼んでくれた。

肌は青白くて、腕や首回りなんて細々として、さわったら崩れ落ちてしまいそう。


折原くんの、お母さん。


「良く来てくれたな。こっちにおいで」


そこに寄り添うように椅子に座っている、折原くんのお父さんも笑顔で私を見つめてくれていて。


「いこ、ゆめ」


そっと私の手をとった折原くんが、優しく病室の中へと引っ張り入れてくれた。

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