無理、俺にして
「あの、」

「んー?」


自分の耳に手を当てて、「こっちこっち」と手招きをされる。

私は素直に碧さんの耳元で、言葉を紡いだ。


学校では圧倒的に人気者で
たくさんの友達にも囲まれているのに、すぐに見つけちゃうくらい目立つ存在で

キラキラしてかっこよくて

飄々としてるけど、実はちゃんと人のことを思っていて、

意地悪なところも
優しいところも

私を見て細める目も
私の名前を呼ぶ優しい声も

私を大切に大切にしてくれるところも。


「ふふ、それって」

「……結局、全部になっちゃいました」


私の話を聞いて、碧さんは
ぱっと花が咲いたように笑った。


「そこ、何話してんの」


私と碧さんの様子が気になった折原くんが声をかけてくる。


「ええ~、紫乃、そんなことしたの!? お母さんびっくり!!」

「っ!? ゆめ……???」


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