無理、俺にして
一体お前は母さんに何を言ったんだ。

そんな心の声が聞こえてくる。


「え、えっ、私はただ折原くんの好きなところを言っただけで……!!」

「それは、俺にも詳しく聞かせてくれないか!?」


あ、赤斗さんまで……!

恥ずかしくて頬に手を当てる。
緊張で冷たくなっていた手は、いつの間にか温かくなっていた。


「ゆめ、プリン買いに行くから着いてきて」

「え、プリン??」

「そう。私の大好物なの!!」

「そうなんですね、わかりました!! 買ってきますね」

「ふふ、ゆっくりでいいわよ」

「俺はチョコのアイスでいいぞ、紫乃!」

「はーい。行こ、ゆめ」


また、折原くんに手を引かれて病室をあとにする。

すごく緊張していたけど、こうして碧さんのために私も一緒に何かできるのが嬉しくて、つい笑顔がこぼれた。


「……今日、来てくれてありがとう」

「ううん、私こそ連れてきてもらえて嬉しい。折原くんのご両親、素敵な人たちだね」


振り返った折原くんは、「でしょ」と嬉しそうにニッと笑っていた。

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