無理、俺にして

昨日。

数学の授業をサボった罰として、渡されたプリントと格闘すること1時間。

やっと解き終わって、俺もやればできるもんだとドヤ顔で職員室に提出しに向かった。


「失礼しまーす」

「……はい、それで制服は保健室で乾かしてもらっていて」

「?」


秋音の声が奥の方で聞こえた。


「早かったな、やればできるじゃないか折原」


俺の姿を見つけた数学担当の先生が声をかけてきて、秋音に気付かない振りをして先生の元へ。


「ま、俺なんで?」

「最初からやれ。まったく」


そんないつも通りの会話をしながら、秋音の方に意識を向ける。


「だいたいなんでお前らはそういつもいつもバカなことをしてるんだ」

「……面白くて?」

「歳を考えろ歳を。小学生か」

「メンタルは?」

「お前なあ……」


どうやら、担任に今日の池ポチャ事件について事情聴取を受けているらしい。

このままだとまずい。

さっさと提出を済ませた俺はそそくさと教室に戻ってきた。

< 32 / 202 >

この作品をシェア

pagetop