無理、俺にして

「お、気付いた」


やっとこっちに気付いたと思ったら、目をまん丸にする彼女。

くっく。人のそういう驚いた瞬間、反応が最高に楽しくて面白い。


驚きすぎてふフリーズしている彼女に向かって、鍵を開けてくれとジェスチャーをする。

よしよし、これで無事に侵入成功なり。


驚かすターゲットは少々違ったが、コレはコレで悪くないな。

そう思いながら、体重を教室側に移動させた時。

思っていたのと全然違う早さで窓が開けられたのだった。


「お」


え。

というかそんな勢いよく開ける奴があるか。

そんなことを思えてしまうくらい、スローモーションに流れる世界での俺は意外と冷静だった。


というかまずい。
このままだと彼女が俺の下敷きになって頭を床に強打してしまう。

とっさに腕を彼女の頭の後ろに伸ばしつつ、体を反転させようとした。

けど、時間までスローになったわけがなく俺たちはそのまま崩れるように倒れ落ちた。



倒れる直前に目にとまった彼女のノート。

俺の見間違いでなければ、そこに書かれていたのはかなり面白そうな内容だった。

むくりと起きて、落ちているノートを拾い上げる。



「ぎゃっ!?」


……思っていたより

めっちゃ、おもしろかった。

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