無理、俺にして

ひっそり過ごしたい?

男の子と仲良くしたらだめだから、じゃなくてか?

……ああ、秋音にはなにも話してないのか。
内容も内容だし、幼なじみなら尚更言いにくいんだろう。


「くふ」

「なんだよ」

「んや、続けんさい」


幼なじみの秋音も知らないようなことを俺が知っている。

そのことに気付いて、機嫌が少し良くなってしまう単純男。さすが俺。


「それなのに昼休み急に鬼ごっこに参加するとか言うから、どうしたんだろって思ってたんだよな」

「それは俺を探してとっ捕まえるためじゃろうな」

「えっ!?」

「ぶふ」


これだから秋音と一緒にいるのは好きなんだ。

からかいがいがある。……いや、今は嘘はついとらんし。


「やっぱりそうなんだ? オリのよく行きそうな場所とか聞かれたし……」

「そりゃあ、朝からずっと見つからんようにしてたからなあ」

「昨日ゆめちゃんとなんかあったってことだよな?」

「おん、窓から落ちそうなのを助けてくれた」


くふ、と笑いながらすよすよ寝ている彼女の頭を優しく撫でる。

いつまで寝るつもりなんだろう。そろそろ起こした方がいいかもしれん。

< 39 / 202 >

この作品をシェア

pagetop