無理、俺にして

「……」


俺の行動をじっと見つめる秋音に気付かない振りをして、そのまま頭をなで続けた。

明らかに不機嫌になっている。

そんなに嫌なら、俺を突き飛ばしてしまえばいいのに。


「オリ」

「ん」

「俺、ゆめちゃんの事が好きなんだよね。ずっと」

「知っとるよ」

「ええっ!!」

「ぶふ……っ」


遠回しに触るなって言いたかったんだろうに、俺の言葉に驚いてどうすんの。


「ま、まあその、だからさ」

「起こすか?」

「じゃなくて」


少し長いベージュの髪をぐしゃぐしゃして、少し下を向く秋音。
視線は俺の足下の彼女に向いたままだ。


「オリも、ゆめちゃんのこと好きなの……かなあ、と」


そう言った瞬間、顔が真っ赤になった。

いやいや、お前が照れてどうすんの。

突っ込みどころがありすぎて、やっぱり秋音といるのは楽しいと改めて思う。

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