無理、俺にして

すました顔しとるくせに、実は考えてること結構やばくて。
なんかちょっかい出せば想像以上の反応が返ってくるから。

こいつは最近で一番面白いなと思うよ。


「んー」


ただ。

好きか、と聞かれたらそれは。


「秋音、すまぬ」

「え?」

「足が痺れて動けぬ、彼女を起こしてはくれんか……」

「わ、わかった!! ゆめちゃん、起きて!!」


秋音は慌てた様子で、でもとても優しい手つきで彼女の体を起こす。


「んぅ……?」


さすがに上半身を起こされた彼女は重そうに瞼を開いた。


「おはようゆめちゃん、心配したんだよ」

「……あっくん……? あれ、私……」

「心配したんだよ、放課後になっても教室に戻ってこないから」

「ほ、うかご……っ!!?」


色々と理解した彼女は、一瞬重力という概念が無くなったように飛び上がる。


「だ、あ、わた、私……」


そして、そろ……っとこちらを振り返った。



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