無理、俺にして
「あ、ちなみに俺たちが幼なじみってことは、もうオリに話しちゃった。ごめん」
「なっ、なんで!!?」
絶望的な表情を浮かべる音原ゆめ。
……ああ、見たことあると思ったらあれだ。
「……ムンクの叫び」
「誰がよ!! え、あっくん、なんで、え、なんで話しちゃったの!!」
ムンクよ、アンタが何か言う度今の秋音にはダメージでしかないのだ。すまん。
きっと秋音の中で俺とキミは付き合ってるか、付き合う直前までいってる事になってる。
幼なじみであることを知られたくない理由が、秋音の中で別の意味でとらえられてしまったに違いない。
「ゆめちゃんが随分オリと仲良しそうだったから」
「なっ、仲良し……!?」
ほお、これは思っていたより修羅場になりそうだ。
これ以上めんどいことにならぬうちに誤解を解くしかなさそ……
「……」
待て、誤解も何も。
俺はさっきまですっかり忘れていたはずの鎖骨の熱を一瞬で思い出した。
なんで忘れてたんだろうと疑問に思うくらい、熱くて。
「……っくふ」
こんなん、秋音になんて言ったらよいのやら。