無理、俺にして

「……そういうことにしとく。帰ろうゆめちゃん」

「だとよ、はよ帰りんしゃい」

「っはあ!! 息できないってこんなにつらいことだったの……!?」


俺から解放された彼女は、ゼエゼエしながらも必死で酸素を体内に取り入れようとする。


「……くふ」


いちいち俺の想像以上の反応を見せてくれてガチで飽きない。

これから秋音の目を色々盗む必要がありそうだけど、まあなんとかなるでしょ。


「それじゃオリ、また明日」

「はいよーお疲れちゃん」


彼女の手を引き、俺にまた明日と告げる。

秋音の言動には俺にそれを伝えるのに十分すぎた。わかりやすすぎてこっちがかゆくなるわアホ。


ま、面白かったし、いいか。

最後に土産でも渡しておこう。


秋音に引っ張られ、俺の横を気まずそうに通り過ぎようとする彼女に、最後に一言小さくつぶやいた。


「――……」

「な……っ!?」

「ばいなら」


二人が屋上を出た瞬間、扉を雑に閉める。

最後の最後まで、彼女の反応を楽しんで終了。


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