無理、俺にして
*ゆめside*

「……」

「……」


ど、どうしよう。
さっきからあっくんが一言も話してくれないんですが……!?

確かにお昼休み、半ば無理矢理鬼ごっこに混ぜてもらっただけじゃなく、そのまま放課後まで姿を消されたらそりゃ心配もするだろうけど!!

なにも、そんなに強く手を引っ張ることないのに。

ちゃんとここにいるのに。

引っ張られている手が、少し痛い。


……ん?

手!?


そそそ、そうだっ、私屋上から今までずっとあっくんと手を繋いでたんだ!!


「あ、あっくん……」

「……」

「あの、手……痛い、です……」

「っ!? ごめ……っ!!」


やっと私の言葉に反応してくれたと思ったら、慌てたように私の手を離してくれた。


「う、うん……」


そのあまりの勢いの良さに少しびっくりして、ドキドキする。

手の痛みはすっかり消えてしまった。

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