無理、俺にして
「や……やっぱりゆめちゃん全然分かってない!!」
「分かってないのはあっくんだよ!!」
二人でガルル……ッと唸る。
まるで小さい頃に戻ったみたいだ。
「ゆめちゃん、できるだけ静かに高校生活送りたいって昨日も言ってた!」
「あっくんだって、一人だからって心配してくれてたし、皆の前で私と普通に話そうとしたよ! なんであっくんはよくて折原くんはだめなの!!」
「俺ならもっとうまくできるし、だいたい俺なんかよりよっぽどオリの方が目立つしモテるし!! あとゆめちゃんが自分で噂になるようなことやだって言ってた!!」
「「む~……」」
人目もはばからずこうして言いたいこと言い合ったのがなんだか久しぶりで。
「……ぷっ」
「あ、ゆめちゃんの負け、ははっ」
「だって、あっくんの真顔……ずるい……!!」
途中からなんだかおかしくなって、なにも解決していないはずなのに二人で笑った。
なるほど、普段のあっくんと折原くんもこんな感じなんだろうか。
親友っていいなあ……。
お母さんは反対するかも知れないけど……あっくんとなら、私も親友になれるかな、してくれるかな。
「……くふ」
お母さんの事を置いておき、あっくんと親友として楽しく過ごす日々を思い浮かべて、それだけでなんだか楽しくなってつい笑みがこぼれた。