無理、俺にして
今日のあっくん、本当にどうしたんだろう。
いつもより感情の起伏が激しい気がする。
いつもはもっとこう……ふんわ~りしたような雰囲気でにこにこして優しいのに。
今日はなんだか、怒ってばっか。
「それじゃ、そろそろゆめちゃん家も近いし俺は先に行くから!!」
ぷんっとほっぺを膨らませたまま私に背中を向けて、一人先にドスドスと大股で歩き出してしまった。
お母さんに見つかったら行けないので、いつもこの辺りでどちらかが先に帰ってタイミングをずらすようにはしているんだけど。
それにしたってこんなの、私だってちょっとムッとするよあっくん。
「……?」
むーっとしながらあっくんの背中が小さくなるのを見ていると。
ふとあっくんが足を止めてくるりとこっちを向いた。
「また明日ね、ゆめちゃん!」
さっきまでプンプンしていたはずなのに、いつもみたいな笑顔を浮かべてまた明日と言った。
「うんっ、また明日……!」
つい、私もつられていつもみたいに挨拶を返した。
私の返事に満足したように、あっくんは走って帰って行った。
「もう……なんなの……?」
今日のあっくんはかなり変だった。
そんなに、折原くんという存在があっくんの中で大きかったとは……。